サルコペニアとフレイルの違い|今日からできる高齢者の予防法

レクリエーション

少しの変化から…

「最近、立ち上がるのが少し大変になった」

「歩く速度が以前より遅くなった気がする」

高齢になると、このような身体の変化を感じることがあります。

介護現場でも、利用者さんの筋力低下や歩行状態の変化は、日々の生活を支えるうえで大切なポイントです。

そこで知っておきたいのが、

「サルコペニア」と「フレイル」です。

どちらも高齢者の健康を考えるうえで重要な言葉ですが、同じ意味ではありません。

この記事では、サルコペニアとフレイルの違いと、日常生活の中でできる予防について紹介します。


サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢などに伴って骨格筋量が低下し、筋力や身体機能も低下した状態です。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、サルコペニアの主な要因は加齢とされ、活動不足、疾患、栄養不良なども危険因子として挙げられています。

簡単にいうと、

「筋肉が減り、身体を動かす力も低下している状態」

と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、

  • 椅子から立ち上がるのが大変になった
  • 歩く速度が遅くなった
  • 階段の上り下りがつらくなった
  • 重い荷物を持つのが難しくなった
  • 転びやすくなった

などの変化につながることがあります。

筋力や身体機能の低下が進むと、外出や活動の機会が減り、さらに身体機能が低下するという悪循環につながることもあります。


筋肉の減少は高齢になってから始まる?

ここは意外に感じる方も多いかもしれません。

厚生労働省のe-ヘルスネットでは、骨格筋量の低下は25~30歳頃から始まり、生涯を通して進行するとされています。

もちろん、

「25歳になったらサルコペニアになる」

という意味ではありません。

筋肉量は若い頃から少しずつ変化していくため、筋肉を維持するための運動や食事は、早い時期から意識しておきたいということです。

これは介護職員にとっても他人事ではありません。

利用者さんのフレイル予防を考えるだけでなく、自分自身が長く健康に働くためにも、筋肉や食事について考えておくことが大切です。


フレイルとは?

サルコペニアと一緒に知っておきたいのが「フレイル」です。

フレイルとは、加齢に伴って心身の活力や予備能力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にあるような状態を指します。

フレイルは身体だけの問題ではありません。

身体的な問題に加えて、心理・認知面や社会生活の面も含めて考えられます。

例えば、

身体面

  • 筋力が低下する
  • 歩くのが遅くなる
  • 疲れやすくなる

心理・認知面

  • 気力がなくなる
  • 外出するのがおっくうになる
  • 認知機能の低下がみられる

社会面

  • 人と会う機会が減る
  • 外出する機会が減る
  • 社会とのつながりが少なくなる

といった変化です。

これらは互いに影響し合います。

例えば、筋力が低下して外出しなくなる

人と会う機会が減る

活動量がさらに減る

身体機能も低下する

という悪循環が起こることがあります。


サルコペニアとフレイルの違い

では、サルコペニアとフレイルは何が違うのでしょうか。

簡単に整理すると、

サルコペニア=筋肉・身体機能の問題

フレイル=心身や社会生活を含めた全体的な虚弱

と考えるとイメージしやすいでしょう。

サルコペニアは、身体的フレイルとも深く関係しています。


高齢者のサルコペニア予防に大切なこと

サルコペニアを予防するためには、「運動」と「栄養」をセットで考えることが大切です。

身体を動かす

筋肉を維持するためには、日常的に身体を動かすことが大切です。

例えば、

  • ウォーキング
  • ラジオ体操
  • 椅子に座って行う体操
  • 立ち座り運動
  • 軽い筋力トレーニング

などがあります。

特に筋力を保つためには、筋肉に適度な負荷をかける運動が重要です。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、レジスタンス運動などの身体活動がサルコペニア予防に役立つとされています。

この記事の後半に、介護現場でも取り入れやすい簡単な予防体操を紹介しています。ぜひ取り組んでみてください。

タンパク質を意識する

もう一つ大切なのが食事です。

筋肉を維持するためには、筋肉の材料となるタンパク質を十分に摂ることが重要です。

タンパク質を含む食品には、

  • 大豆製品
  • 牛乳・乳製品

などがあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18~64歳のタンパク質推奨量は男性65g/日、女性50g/日。65歳以上では男性60g/日、女性50g/日とされています。

これは肉や魚をその量食べるという意味ではなく、1日の食事全体から摂るタンパク質量です。

また、サルコペニア予防について、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、適正体重1kgあたり1.0g以上のタンパク質摂取が予防に有効である可能性にも触れています。

ただし、必要な量は年齢や体格、活動量、健康状態などによって異なります。

特に腎臓病などで食事制限を受けている場合は、自己判断でタンパク質を増やさず、医師や管理栄養士に相談しましょう。

③ 1日3食を意識する

高齢になると、食欲が低下したり、一度にたくさん食べることが難しくなったりすることがあります。

そのため、タンパク質を1食に偏らせるのではなく、毎食少しずつ摂ることも意識したいポイントです。

例えば、

朝:卵+牛乳

昼:魚や肉のおかず

夜:肉や魚+豆腐

というように、さまざまな食品から摂ることができます。

「夕食に肉を食べているから大丈夫」ではなく、朝食や昼食にもタンパク質を取り入れられているか、一度振り返ってみましょう。


今日からできる簡単なフレイル予防体操5選

フレイル予防では、日常的に身体を動かすことも大切です。

ここでは、椅子に座ったままでも取り組みやすい簡単な体操を5つ紹介します。

つま先上げ

かかとを床につけたまま、つま先だけをゆっくり上げ下げします。

すねの筋肉(前脛骨筋)を鍛え、歩行時のつまずきや転倒の予防につながります。

グーパー運動

両腕を胸の前に伸ばし、手を「グー・パー」とゆっくり握ったり開いたりします。

慣れてきたら、少しずつスピードを上げてみましょう。

手指の筋力や巧緻性の維持、注意力や運動の切り替えにもつながります。

その場足踏み

太ももを無理のない範囲で大きく上げ、その場で足踏みします。

腕は後ろに引くことを意識して、大きく振りましょう。

立って行うのが難しい場合は、椅子に座ったままでもできます。

下半身と上半身を使う全身運動になります。

肩回し

両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように回します。

前回し・後ろ回しを10回ずつ行いましょう。

ゆっくりでもよいので、両肘を近づけるように動かします。

肩周りをほぐし、猫背の改善にもつながります。

深呼吸

鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり吐きます。

呼吸の速さを意識しながら、無理なくゆっくり行いましょう。

運動の最後に取り入れることで、身体をゆっくり休める時間にもなります。


無理なく続けることが大切

フレイル予防の体操は、頑張りすぎる必要はありません。

その日の体調や体力に合わせて、できる範囲で行いましょう。

立って行う運動に不安がある場合は、椅子に座ってできる方法から始めるのもおすすめです。

介護施設で行う場合は、利用者さんの身体状態や疾患、転倒リスクなどを確認し、安全を優先して取り組みましょう。


サルコペニア予防は「運動+栄養」で考える

サルコペニア予防には、運動と栄養の両方が欠かせません。どちらか一方ではなく、日常生活の中で無理なく続けることが大切です。

また、筋肉量の低下は若い頃から始まるため、高齢者だけでなく介護職員自身も含めて、早い段階から意識しておくことが重要です。


まとめ

サルコペニアとフレイルは似ていますが、次のような違いがあります。

  • サルコペニア:筋肉量・筋力・身体機能の低下
  • フレイル:身体・心・社会面を含む全体的な虚弱状態

サルコペニアはフレイルの一因でもあります。

そのため予防には、

  • しっかり食べる
  • 適度に体を動かす
  • 人とのつながりを保つ

といった日常習慣が重要です。

小さな変化に気づくことが、自分自身や利用者の健康を守る第一歩になります。


参考文献・参考サイト

・厚生労働省「e-ヘルスネット|サルコペニア」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-087

・公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット|サルコペニア・フレイル」
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/index.html

・公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット|サルコペニア予防のための生活習慣」
https://www.tyojyu.or.jp/NET/byouki/frailty/sarcopenia-yobo-seikatsu-syukan.html

・公益財団法人 長寿科学振興財団「健康長寿ネット|サルコペニアに対する栄養」
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-eiyo.html

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