やっぱり費用が心配…
「介護現場にICTを導入したいけれど、費用が心配」
「見守りセンサーや介護ロボットを使ってみたい」
そんな介護事業所を支援するため、国や都道府県では介護テクノロジーの導入・定着を支援する取り組みが進められています。
介護人材不足が深刻になる中、ICTや介護ロボットを活用して業務を効率化し、介護職員の負担を軽減することが重要になっています。
今回は、厚生労働省の情報をもとに、介護テクノロジーの導入支援についてわかりやすく解説します。
介護テクノロジーとは?
「介護テクノロジー」と聞くと、人型ロボットを思い浮かべるかもしれません。
しかし、介護テクノロジーにはさまざまなものがあります。
例えば、
- 介護記録ソフト
- タブレット
- 見守りセンサー
- インカム
- 移乗支援機器
- 移動支援機器
- 排泄支援機器
- 機能訓練を支援する機器
- 認知症ケアを支援する機器
などです。
厚生労働省は、介護現場で活用が期待されるテクノロジーについて「介護テクノロジー利用の重点分野」を定めています。
2024年の改訂では、それまでの重点分野に新たに3分野が加わり、9分野16項目へと拡充されました。
なぜ介護テクノロジーが必要なの?
背景にあるのが、介護人材不足です。
高齢者が増え、介護サービスへの需要が高まる一方で、働く世代は減少していくことが予想されています。
そのため、これからの介護では、
「人の力」+「テクノロジーの力」
を組み合わせていくことが重要になります。
例えば、介護記録をタブレットで入力できれば、紙の記録や転記にかかる時間を減らせます。
見守りセンサーを活用すれば、利用者さんの状態変化を把握するための手段を増やすことができます。
こうしたテクノロジーを上手に活用することで、職員の負担軽減や業務効率化につなげることが期待されています。
介護テクノロジーの導入を支援する補助制度
「便利なのはわかるけれど、導入費用が高そう……」
そこで知っておきたいのが、介護テクノロジー導入・定着を支援する補助制度です。
厚生労働省では、介護現場の生産性向上を進めるため、介護ロボットやICT機器などの介護テクノロジーの導入・定着に向けた補助を行っています。
ただし、国から全国の事業所へ一律に同じ金額が支給されるという仕組みではありません。
実際の補助制度や申請方法は、都道府県によって異なります。
厚生労働省も、介護テクノロジー導入支援について、都道府県ごとの予算状況を公開しています。
「全国で補助金がある」とは限らない?
ここは注意したいポイントです。
「介護テクノロジーの補助金が全国で拡大している」と聞くと、どの地域でも同じ制度を利用できるように思うかもしれません。
しかし、補助内容や対象となる機器、補助率、上限額、申請時期などは、自治体によって異なる場合があります。
そのため、導入を考えている場合は、
①厚生労働省の情報を確認する
↓
②所在地の都道府県の介護・高齢者福祉関連ページを確認する
↓
③補助対象となる機器や申請条件を確認する
という流れで調べることが大切です。
厚生労働省も、介護テクノロジーの導入支援については都道府県への問い合わせを案内しています。

どんな機器が対象になるの?
介護テクノロジーの重点分野には、さまざまなものがあります。
移乗支援
利用者さんをベッドから車いすなどへ移乗するときの負担を軽減する機器です。
移動支援
歩行や屋内外の移動をサポートする機器です。
排泄支援
排泄の予測・検知や、排泄動作などを支援する機器があります。
見守り・コミュニケーション
利用者さんの見守りやコミュニケーションを支援する機器です。
介護業務支援
介護記録など、介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、業務に活用する機器やシステムです。
機能訓練支援
身体機能や生活機能の訓練を支援する機器・システムです。
食事・栄養管理支援
高齢者の食事・栄養管理に関する業務を支援します。
認知症生活支援・認知症ケア支援
認知機能が低下した方の自立した生活や個別ケアを支援する機器・システムです。
このほか、入浴支援なども重点分野に含まれています。
ICTを導入すれば介護職はいらなくなる?
これは大きな誤解です。
介護テクノロジーの目的は、人を機械に置き換えることではありません。
記録、情報共有、見守りなどをテクノロジーで支えることで、介護職員の負担を減らし、
「人にしかできないケア」に時間を使えるようにする
ことが大切です。
利用者さんの表情を見て、
「今日は少し元気がないな」
と気づく。
会話をしながら、
「この人は何を大切にしているのだろう」
と考える。
不安そうな利用者さんに声をかける。
こうした人と人との関わりは、テクノロジーだけでは代替できません。
2040年問題と介護テクノロジー
2040年に向けて、高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進むことが予想されています。
その中で、介護サービスを維持していくためには、
「限られた人材で、どのように質の高い介護を提供するか」
が大きな課題になります。
だからこそ、ICTや介護ロボットなどを活用し、職員の負担を減らしながら介護の質を維持・向上させる取り組みが重要になっています。
厚生労働省も、介護テクノロジーの導入・定着支援を生産性向上の取り組みの一つとして進めています。
介護職が今からできること
介護職個人が補助金を申請するわけではありませんが、現場で働く職員だからこそできることがあります。
例えば、
「この作業に時間がかかっている」
「この業務は職員の負担が大きい」
「こういう機器があれば利用者さんの安全につながりそう」
といった現場の課題を、管理者や担当者に伝えることです。
テクノロジーは「導入すること」が目的ではありません。
現場の課題を明確にして、その課題を解決するために活用することが大切です。
まとめ
介護テクノロジーは、これからの介護現場に欠かせない存在になっていくと考えられます。
厚生労働省では、介護テクノロジー利用の重点分野を9分野16項目に拡充し、介護ロボットやICTなどの導入・定着を支援しています。
また、都道府県ごとの導入支援の予算状況も公開されています。
「うちの施設でも使えるかも」と思ったら、まずは自分の地域で利用できる支援制度を調べてみましょう。
テクノロジーを上手に取り入れて、人にしかできない介護に時間を使う。
それが、これからの介護を考えるうえで大切な視点の一つになりそうです。
参考:厚生労働省
厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」のページを参考にしました。
介護テクノロジーの重点分野や導入支援、都道府県ごとの情報などが掲載されていますので、詳しくはこちらをご覧ください。


