便秘を侮るなかれ。認知症にも関係する「うんち」の話

介護の知識

うんち、出てますか?

「最近、なんだか落ち着かない」
「いつもよりイライラしている」
「介護への抵抗が強くなった気がする」

認知症の方にこうした変化があると、

「認知症が進んだのかな?」
「BPSDが強くなったのかな?」

と考えることがあります。

でも、その前に確認したいのが身体の不調です。

痛みや脱水、睡眠不足などと同じように、見落としたくないのが「便秘」です。

特に高齢者は、活動量や水分摂取量の低下、薬の影響などから便秘になりやすいことがあります。

そもそも「便秘」って?

まず知っておきたいのは、「毎日うんちが出ない=便秘」ではないということ。

反対に、毎日排便があっても、

  • 便が硬くて出しにくい
  • 強くいきまないと出ない
  • 出したあとも残っている感じがする
  • 少量しか出ない
  • 排便してもスッキリしない

といった状態が続いていれば、便秘の可能性があります。

つまり、回数だけではなく、「無理なく、スッキリ出せているか」も大切です。

もともと排便が2日に1回の人もいれば、毎日出る人もいます。

高齢者の便秘を考えるときも、「何日出ていないか」だけではなく、その人の普段の排便リズムと比べてどうかを見ることがポイントです。

便秘と認知症、BPSDの関係

便秘が続くと、お腹が張ったり、気持ち悪くなったり、食欲が落ちたりすることがあります。

こうした身体の不快感は、気分や行動にも影響します。

特に認知症の方は、

「お腹が苦しい」
「便が出なくてつらい」

と、うまく言葉で伝えられないことがあります。

そのため、身体の不調が、

「怒る」「拒否する」「落ち着かない」

などの行動の変化として表れることもあります。

認知症の人にみられるこうした行動・心理面の変化は、BPSD(認知症の行動・心理症状)と呼ばれます。

ただし、「便秘=BPSDの原因」と決めつけることはできません。

「認知症が悪化したのかな?」と思う前に、便秘を含めた身体の状態を確認することが大切です。

「なんだかいつもと違う」ときは排便をチェック

認知症の方に変化があったら、こんなところを確認してみましょう。

排便

  • 最後に出たのはいつ?
  • いつもより間隔が空いていない?
  • 便が硬くなっていない?
  • 排便時に苦しそうではない?
  • 出たあともスッキリしていない?

食事・水分

  • 食事量が減っていない?
  • 水分はとれている?
  • 食欲が落ちていない?

生活

  • 最近、活動量が減っていない?
  • 座っている時間が長くなっていない?
  • 薬が変わっていない?

「出た・出ない」だけでなく、便の硬さや出しやすさも見ておくと、いつもとの違いに気づきやすくなります。

排便後はトイレを振り返って、便の確認をしてみてください。

色、硬さ、量はどうかな?

高齢者だけではなく、ご自身の体調確認のためにも「うんちチェック」を習慣としてください。

高齢者の便秘、今日からできる対策

便秘を防ぐために、日常生活でできることがあります。

水分をとる

水分不足は、便が硬くなる原因のひとつです。

こまめな水分補給を意識しましょう。

ただし、心臓や腎臓の病気などで水分制限がある場合は、自己判断で増やさず医師に確認してください。

食事を見直す

野菜、果物、豆類、きのこ、海藻、穀類など、食物繊維を含む食品をバランスよく取り入れましょう。

ただし、「便秘だから、とにかく食物繊維を増やす」ではありません。

便が硬く、お腹が張っている場合などは、急に食物繊維を増やすとかえって苦しくなることもあります。

少し身体を動かす

散歩や体操、家の中を歩くなど、無理のない範囲で身体を動かしましょう。

特別な運動でなくても、座りっぱなしの時間を減らすことから始められます。

排便のリズムをつくる

朝食後など、便意が起こりやすいタイミングにトイレに行く習慣をつくるのも一つの方法です。

無理に長時間トイレに座る必要はありません。

排便を記録する

「いつ出たか」に加えて、

  • 硬かった・軟らかかった
  • 量はどうだったか
  • 出しやすかったか

などを簡単に記録しておくと、普段との違いが分かりやすくなります。

医師や看護師、薬剤師に相談するときにも役立ちます。

「便秘のせい」と決めつけない

認知症の方に急な変化があったとき、便秘を疑うことは大切です。

でも、便秘だけが原因とは限りません。

痛み、感染症、脱水、薬の影響、睡眠不足など、ほかの身体的な問題が隠れていることもあります。

特に、

  • 急に様子がおかしくなった
  • 意識がぼんやりしている
  • 強い腹痛がある
  • お腹がひどく張っている
  • 嘔吐している
  • 血便がある
  • 発熱がある

といった場合は、単なる便秘だと思わず、医療機関に相談しましょう。

認知症の方の急激な変化では、せん妄など別の身体的な問題が隠れていることもあります。

「認知症が進んだ?」と思ったときこそ

「最近、怒りっぽくなった」
「前より拒否が強くなった」
「なんだか落ち着かない」

そんなとき、

「認知症が進んだから仕方ない」

と決めつけないこと。

「痛くないかな?」
「眠れているかな?」
「水分はとれているかな?」
「最後に便が出たのはいつかな?」

と、身体の状態にも目を向けてみましょう。

認知症の方の行動の変化には、何か理由があるのかもしれません。

その理由を一つひとつ探すことも、その人を理解するための大切な視点です。

便秘は「たかが便秘」ではない

便秘は、誰にでも起こる身近な問題です。

だからこそ、見過ごされやすいものでもあります。

特に高齢者や認知症の方では、便秘による身体の不快感をうまく伝えられないことがあります。

「なんだかいつもと違う」

そう感じたときは、

こころの変化だけではなく、からだにも目を向ける。

その中に「排便」というチェック項目を入れておく。

うんちの話は少し話しにくいけれど、介護では大切な健康チェックのひとつです。

「最後に出たの、いつだったかな?」

まずは、そこから確認してみませんか。

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