「介護か仕事か」の二択なの?
「親の介護が必要になったら、仕事はどうしよう?」
親の病気や介護がきっかけで、そんな不安を感じることはありませんか?
介護というと、「仕事を辞めて家族の介護をする」というイメージがあるかもしれません。
でも、介護が始まったからといって、すぐに仕事を辞める必要はありません。
働きながら家族の介護をする「ビジネスケアラー」という選択肢があります。
今回は、介護離職を防ぐために知っておきたい制度について紹介します。
あなたもビジネスケアラーかもしれません
「ビジネスケアラー」とは、働きながら家族の介護をしている人のことです。
介護は、ある日突然始まることがあります。
親が転倒した。
病気が見つかった。
認知症の症状が進んだ。
退院後の生活を考えなければならなくなった。
そんなとき、
「病院に連れて行かなくては」
「介護サービスを探さなくては」
「仕事を休まなくては」
と、短期間にたくさんのことを考える必要があります。
最初は「病院の付き添いだけ」のつもりだったのに、気がつけば仕事を休む日が増えていた。
そんなこともあるかもしれません。
介護離職とは?
介護離職とは、家族の介護を理由に仕事を辞めることです。
仕事を辞めれば介護に使える時間は増えるかもしれません。
一方で、収入が減ったり、将来の生活に不安を感じたりすることもあります。
そして介護は、いつまで続くのか分からないこともあります。
だからこそ、
「介護が必要になったら仕事を辞める」
と考える前に、
「仕事を続けながら介護する方法はないだろうか?」
と考えてみることが大切です。
介護休暇と介護休業を知っていますか?
仕事と介護の両立を支える制度の中でも、知っておきたいのが介護休暇と介護休業です。
名前は似ていますが、使い方が違います。
介護休暇
介護休暇は、介護や世話のために、短期間休むための制度です。
対象家族が1人の場合は、1年度につき5日まで。
2人以上の場合は10日まで取得できます。
1日単位だけでなく、時間単位で取得することもできます。
たとえば、
- 親の通院に付き添う
- ケアマネジャーとの相談に行く
- 介護サービスの手続きをする
- 施設を見学する
- 急に親の世話が必要になった
といった場面で利用できます。
「丸一日休むほどではないけれど、仕事を抜ける必要がある」
というときにも使える制度です。
介護休業
介護休業は、ある程度まとまった期間、仕事を休むための制度です。
対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。
ここで大切なのは、
介護休業は、介護をするためにずっと仕事を休む制度ではない
ということです。
むしろ、
介護サービスを整え、仕事と介護を両立できる体制をつくるための期間
と考えると分かりやすいでしょう。
たとえば、親が突然倒れて介護が必要になったとします。
「これから毎日、自分が介護しなければ」
と考える前に、介護休業を利用して、
- 要介護認定の手続きをする
- ケアマネジャーに相談する
- デイサービスを探す
- 訪問介護を検討する
- ショートステイを検討する
- 家族で役割分担を考える
- 職場と今後の働き方を相談する
など、介護の体制を整えていくことができます。
介護休暇と介護休業、どう使い分ける?
簡単に考えると、
介護休暇
→ 通院や手続きなど、短時間・スポットで休みたいとき
介護休業
→ 介護が始まったときに、今後の介護体制を整えるため、まとまった期間が必要なとき
というイメージです。
どちらも、介護離職を防ぎながら仕事と介護を両立するための大切な制度です。
介護休業中に給付金を受け取れる場合も
介護休業中の給与については、会社の規定によって異なります。
また、一定の要件を満たす場合には、雇用保険から介護休業給付を受けられる場合があります。
介護休業を利用するときは、勤務先の人事・総務担当者やハローワークなどに確認しておきましょう。
2025年4月から介護離職防止の取り組みが強化されています
2025年4月から、介護離職を防ぐための制度が変わりました。
事業主には、介護休業や介護両立支援制度を利用しやすくするための雇用環境の整備や、介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認などが義務づけられています。
つまり、
「親の介護が始まったけれど、会社に相談しづらい」
と一人で抱え込まないことも大切です。
勤務先の人事・総務担当者や相談窓口に、利用できる制度を確認してみましょう。
介護離職を防ぐために「一人で介護しない」
介護が始まると、
「自分の親だから、自分がやらなければ」
と思ってしまうことがあります。
私自身も父の介護を経験する中で、
「自宅で受け入れることはできないだろうか」
と考えました。
でも実際には、
「仕事をしながら介護できるのか」
「高齢の母だけで対応できるのか」
「急なときは誰が駆けつけるのか」
など、さまざまな問題があります。
介護は、家族の頑張りだけで何とかするものではありません。
介護保険サービス、医療、家族、勤務先の制度などを組み合わせながら、その家庭に合った方法を探していくことが大切です。
介護が始まったら確認したい5つのこと
介護保険サービスを利用できるか
要介護認定を受けることで、さまざまな介護サービスを利用できる可能性があります。
まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみましょう。
勤務先の制度を確認する
介護休暇・介護休業だけでなく、
- 短時間勤務
- フレックスタイム
- 時差出勤
- 残業の制限
- 深夜業の制限
- テレワーク
など、仕事と介護を両立するための制度があります。
会社によって利用できる制度や条件が異なるため、勤務先に確認してみましょう。
家族で役割を分担する
介護そのものだけが「介護」ではありません。
- 病院への付き添い
- ケアマネジャーとの連絡
- 買い物
- 各種手続き
- お金の管理
など、さまざまな役割があります。
家族それぞれができることを分担する方法もあります。
介護サービスを組み合わせる
「デイサービスを使う」
「訪問介護を利用する」
「ショートステイを利用する」
など、複数のサービスを組み合わせることで、家族の負担を減らせることがあります。
自分の生活も大切にする
介護をする人が疲れ切ってしまえば、介護を続けることも難しくなります。
睡眠、仕事、家族との時間、自分自身の休息。
これらを大切にすることも、長く介護を続けるためには必要です。
「仕事か介護か」の二択にしない
介護が始まると、
「仕事を続けるか、親の介護をするか」
という二択になったように感じることがあります。
でも、本当に必要なのは、どちらか一方を選ぶことではないのかもしれません。
介護サービスを利用する。
家族で分担する。
職場に相談する。
介護休暇を使う。
介護休業を使って介護体制を整える。
働き方を変える。
いくつもの方法を組み合わせることができます。
介護を続けるために、仕事を辞めるのではなく、仕事を続けながら介護する方法を探す。
それも、家族を支えるための大切な選択肢です。
介護は、いつまで続くのか分からないこともあります。
だからこそ、親のことだけではなく、介護する自分の生活も大切にしながら、無理のない介護の形を探していきたいものです。
※介護休暇・介護休業などの制度や給付には、対象者や利用条件があります。また、制度は変更される場合があります。利用を検討する際は、厚生労働省や勤務先の担当窓口などで最新の情報をご確認ください。

